2010-03-27
某業界団体やベンチャーの動きとは無関係に電子書籍が一気に普及する可能性
電子書籍 |
Twitter でつぶやいたことをここにも書いておく。
Amazon が現地時間3月21日、Kindle Apps for Tablet Computers(以下、Kindle for iPad)を発表した。
hon.jp DayWatch - 米Amazon、iPad向け電子書籍アプリ「Kindle Apps for Tablet Computers」を発表
既に Kindle for iPhone が出ていて、iPad 発表当初から噂されていたのだが、電子書籍端末として競合する iPad に Kindle の電子書籍を提供するということだ。
「Appleはハード屋、Amazonは本屋」ということで、既に Kindle を実質無料で提供することも行っていたこともあり、Amazon はハードに固執していないという見方が大勢を占める。
だが、この発表はAmazonが開発中のスクリーンショットを一方的に出したもので、4月3日のiPad発売後に実機テストをしてからApp Storeに申請するという。この申請が承認されるかどうかはまだ分からないのだ。
電子書籍リーダーとしてのiPadの可能性は、オープンかどうかにかかっている【湯川】 : TechWave
Apple は iTunes の競合アプリをずっと承認して来なかったし、今も Opera Mini for iPhone が承認されるかどうか注目されている。
Safariの競合:Opera、iPhone版「Opera Mini」をAppleに申請したと発表 - ITmedia エンタープライズ
iBookStoreと競合するKindle StoreをAppleがすんなり認めるかどうか。
だが、上記のような世論と、Operaと同じく申請を公けにする戦略で、Appleは承認することになるのではないか予想される*1 *2。
アマゾン、「Kindle for iPad」を正式に発表 - Touch Lab - タッチ ラボ
もちろん、それが望ましい方向だ。別のコンテンツを読むために別のデバイスを購入しなければいけないなどという事態は消費者に受け入れられないだろう。出版社や著者が一つのコンテンツを複数のデバイスに提供するとなると、オーサリング工程が重くなり負担となる。あるいはみんなの嫌いな中間搾取業者の介在を許す。
映像分野ではDECE(Digital Entertainment Content Ecosystem)という動きがある。「ある一つの端末から買ったデジタルコンテンツは、他のどんな端末でも再生できなくてはおかしい」というものだ。
[Update]デジタルエンターテイメント業界がDRMひとつで全て支配するDECE構想を発表
電子書籍も同様になって欲しい。
nookを販売しているBarnes & Nobleも、Barns & Noble eReader for iPad(仮)を開発しているという。
iPad版 Kindleアプリ 画面公開、B&NやSkiffも開発中 - Engadget Japanese
KindleはLinuxだしnookはAndroidであり、iBooks for KindleやiBooks for nookも可能な筈だ。
ここまでは前置き。
もしKindle for iPadが承認されるのであれば、ブンコビューア for iPadや、T-Time for iPadや、Keyring PDFクライアント for iPadや、ebi.BookReader for iPadといったアプリも認められる筈だ。
それぞれ、XMDF、.book、Keyring PDF、ebi-jといった形式の電子書籍を読むためのソフトである。既にiPhone版が出ているものもある。
これらのソフトで読める電子書籍を扱っているサイトで出版点数を見てみると、電子書店パピレス148,784点、eBookJapan35,589点、電子文庫パブリ*311,204点、XMDFは文字モノ30,000点、コミック63,000点、辞書100点*4など*5。『出版年鑑』に載っている数字でも、2009年版には約2万5000点だ。Kindle Storeは41万点らしいけど、パピレスの15万点ならいい勝負じゃないかな。もちろん自費出版や同人誌などばかりでなく、書籍を出している一般的な出版社の本だ。
日本の出版社は電子書籍に消極的だなどと嘯く人がいるが*6、4月末とも言われている日本でのiPad発売と同時に、これだけの数のタイトルが電子書籍端末で読める/売れるようになる可能性があるのだ*7。
*1:また、iPadはもっと多彩なアプリケーションを可能にするデバイスであって、紙の本をコピーしただけの電子書籍を扱うiBookStoreにスティーブ・ジョブズは固執していないという見方もある
*2:(4/3追記) Kindle for iPad は承認されました。http://ipodtouchlab.com/2010/04/ipad-kindle-app-store.html
*3:ネットでは批難轟々の電書協こと電子書籍出版社協会の前身である電子文庫出版社会が2000年から運営しているサイトです。
*4:http://www.soumu.go.jp/main_content/000063609.pdf
*5:今日現在。タイトルの重複はある。携帯向け電子書籍(市場全体の86%を占める)はよく知らないし調べてない。
*6:日本の電子書籍市場は2008年に464億円 http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090710/172850/ 、アメリカは2009年に1億ドル http://hon.jp/news/1.0/0/1210/ である。
*7:「2010年は電子書籍元年」などということもよく言われているが、この通り多くのタイトルが既に電子書籍になっているのであって、「ブックリーダー元年」を支持したい。