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オリノコ川の分水嶺を探査する RSSフィード

2013-08-15

本の値引きとポイントサービスについての補足(大学生協について)

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STOP!! Amazon!! ●出版社へ呼びかけ: 日本出版者協議会の記事が話題になっていて、これは繰り返しネタなので基本的な背景説明としては本の値引きとポイントサービスについて - オリノコ川の分水嶺を探査する - bookstoreをお読みいただきたい。


で、Amazonのサービスが学生対象ということで、関連ニュースも含めてブコメに「大学生協の割引販売は?」という疑問が散見される。

生協学割は良い学割amazon学割は悪い学割!」という謎の主張。この理屈を詰めると美術館や交通機関の学割にもケチをつけることになるんだが…

http://b.hatena.ne.jp/wbbrz/20130814#bookmark-157670662

同じ学生対象でも大学生協は◯でAmazonが☓というロジックは果たして受け入れられるのだろうか。

http://b.hatena.ne.jp/mr4970chun/20130813#bookmark-157670662

大学生協も1割引きやん……

http://b.hatena.ne.jp/sin-idea/20130813#bookmark-157670662

大学生協の割引は良くてamazonは駄目?謎。

http://b.hatena.ne.jp/kappaseijin/20130814#bookmark-157670662

amazon学割dis るなら、大学生協の書籍1割引はなんで黙殺してるの?

http://b.hatena.ne.jp/hatekun_b/20130814#bookmark-157758238

大学生協については上記エントリでも触れているが、「大学」だからOKじゃなくて、「生協」だからOKなのである。学割とは違う。大学じゃない生協コープデリのブックショップ)でも5%引きで売っている。よく分からんが消費生活協同組合法に則っていて営利企業じゃないんだろう。(cf. 生活協同組合 - Wikipedia


次に、じゃあ生協を持たない大学に紀伊國屋書店丸善が出している書店は? ということになるが、

うちの大学の地下に入ってた紀伊国屋書店だって1割引で売ってましたがな…

http://b.hatena.ne.jp/wideangle/20130814#bookmark-157670662

これは大学に対する外商の一部として行われていると考えられる。外商では値引きOKなのである。

第六条 この契約の規定は、次に掲げる場合には適用しない。

(2) 甲が認めた場合における、定期刊行物・継続出版物等の長期購読前金払い及び大量一括購入、その他謝恩価格本等の割引

再販契約書(出版-取次)(PDF)

この「大量一括購入」に当たる。大学は研究費とか図書館予算とかで大量に本を買うから。


Amazon生協ではないし、大量一括ではなく個別の学生ユーザーに販売している。

つまりAmazonが契約違反をしているのであって、日本出版者協議会が正しい。日本出版者協議会の主張が気に入らないなら、先に法律と契約を変えろ、公取委仕事しろ、という話。

日本って世界的に見ても書籍は安い国。なんでも規制をなくせば消費者が得をするってもんじゃない。一時的に下がったとしても結果高くて種類の減った書籍を買わされるのは消費者

http://b.hatena.ne.jp/kawango/20130814#bookmark-157808574

2012-10-21

本の値引きとポイントサービスについて

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出版協、アマゾンジャパンに申し入れ――10%ポイント還元特典などの是正求める - ITmedia eBook USERという記事がITmediaに出ていて、内容が中途半端でブコメも混乱しているので整理してみる。

再販制

まず「再販制」についても用語を誤解している人が時々いるんだけど、メーカーが小売店に対して小売価格を強制する「再販売価格維持行為」は、独占禁止法違反となる。それが「適用除外」として違法じゃなくなる品目が公正取引委員会によって指定されていて、出版物が含まれるのである。

そのため出版社-取次-書店の間で「再販売価格維持契約」が結ばれて価格拘束が行われている。法律による強制ではなく、任意の契約だ。

大学生協

大学生協の値引きについてブコメで言及している人もいるが、

また、共済組合生活協同組合独禁法第23条5項の規定により再販契約を遵守する義務を負わない。そのため、大学生協などでは再販商品であっても値引きが行われている。

再販売価格維持 - Wikipedia

つまり「再販売価格維持契約」を生協は結んでいない、あるいは無効となる。*1 *2

Amazonの場合

で、まぁアマゾン生協じゃないよね。

そしてアマゾンも「再販売価格維持契約」を締結しており、上記の通り合法な契約である以上、遵守しなければならないというのが日本出版者協議会(旧・流対協)の主張だ。

ポイントサービス

実際に行われているのは値引きではなくポイントによる還元なんだけど、出版物のポイント制度はどうなのか(事実上の値引きではないのか)、という点については、「出版物小売業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約」(PDF)というものがある。

「出版物小売業公正取引協議会」なる業界団体の決めた自主ルールだが、この団体も規約も公正取引委員会認定されている。

要約すると

  • ポイントによる還元は2%までOK
  • 年2回・90日以内の期間限定なら、7%までOK

これを超えるポイントはダメ、というルールが書店に課せられている。消費者利益に反するルールだが、公取委のお墨付きがある、という再販制と同じ状況だ。*3

書店のポイントカード*4はいくつかあるけど、これに沿って運用されている。

Amazonの場合

アマゾンの主張は

公取委には話をしており、商品を買うときにポイントを利用する以外に、景品を選択することもできるようにした」

日本出版者協議会/アマゾンに学割廃止を要請 (2012.10.19)|流通ニュース

であって、具体的に何を指すのかよく分からないんだけど、書籍以外の商品にもポイントが使えるから値引きじゃないよ、てことじゃないかと推測している。

でもそれを言ったら他の書店もDVD文房具を扱っていれば同じ理屈が通るので「出版物小売業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約」は無実化するんじゃないかと思う。

ともあれ「公取委には話をしており」というのがポイントだ。自ら認定した公正競争規約に反する行為を認めてしまったようにも見える。

まとめ

公取委が出版物の再販制をやめたいと考えていながら廃止しないのが混乱の元だよねぇ。

公正取引委員会著作物再販適用除外についての考え方でございますが,これは平成 13 年に考え方を公表しているところでございまして,この適用除外は廃止するべきであると考えていることには変わりはございません。

著作物再販協議会(第8回会合)議事録等の公表について

*1:さらに大学や図書館に対する外商販売でも値引きが行われるが、あれは「小売」ではない、でOKかな。

*2:補足エントリを書きました→ 本の値引きとポイントサービスについての補足(大学生協について) - オリノコ川の分水嶺を探査する - bookstore

*3:だが実はこの規約は再販制とは何ら関係がない。どちらかというと景表法を上書きするイメージ。

*4cf. ネットでもたまる 大手書店のポイント活用術|マネー研究所|NIKKEI STYLE

2010-11-02

事実と違うことを挙げて再販制批判って何その「水からの伝言」

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付録付き雑誌は書店を元気にする!……? – アゴラ という記事を見つけたのだが。

今回の付録攻勢雑誌だが、これらも雑誌であれば当然再販制と委託販売制に守られているわけだ。

付録付き雑誌は書店を元気にする!……? – アゴラ

いきなりダウト。終了。


複合出版物は非再販商品です。

書籍は「定価」表示ですが、

f:id:worris:20101103014911p:image

アリアドネの弾丸│宝島社の公式WEBサイト 宝島チャンネル

付録付き雑誌は「価格」表示です。

f:id:worris:20101103014930p:image

no title

非対象商品を含めて再販契約の対象とすることは原則として独占禁止法上問題となる。

ページを表示することができません:公正取引委員会

これは3年前に,DVD やCD-ROM 等,著作物の再販対象とは違うものをセットとして雑誌あるいは書籍に付けていて,それをあたかも再販商品のように「定価」表示を付けるのは,再販商品の範囲を逸脱しているのではないかという御指摘を受けました。全くそのとおりで,この指導は継続して業界でも実施して参りました。

著作物再販協議会(第8回会合)議事録等の公表について(PDF)

DVD付き写真集も「価格」表示の非再販商品です。

非再販商品の表示と値引き - オリノコ川の分水嶺を探査する - bookstore


そうなると同じような製品を販売している会社からすれば、迷惑な話でしかない。出版社は再販制と委託販売制に守られているから低価格で販売できる。通常の会社では自由競争なので、値引きなどを考慮した価格を付けなければならない。このように“付録”として通常の商品が流通してくると、そもそも再販制は必要か? という問題にまで発展しかねない。

付録付き雑誌は書店を元気にする!……? – アゴラ

前提が間違っているので何を言いたいのかさっぱり分からない。つまり再販制と関係なく低価格を実現した宝島社が偉いってことじゃん。

そして書店は再販制擁護一辺倒ではないという話。

第62回書店東北ブロック大会が7月15、16日に開催され、現在の取引制度・慣行に対する声明が出された。

(略)

一般小売商の販売価格政策は商品の「交叉比率」200以上を基準としているが、書店の交叉比率は105から115で、返品が認められているにしても余りに低く、これが書店が苦しんでいる「低い生産性」の元凶である。出版社は再販制下で定価設定権を持ち、実質的に書店の仕入れ正味価格をも拘束しているのだから、価格設定の際に書店の交叉比率200を念頭に入れて決めてほしい。

出版状況クロニクル30(2010年10月1日〜10月31日) - 出版・読書メモランダム

2009-07-09

仲俣暁生さんの再販制に関する誤解

| 21:43 | 仲俣暁生さんの再販制に関する誤解 - オリノコ川の分水嶺を探査する を含むブックマーク はてなブックマーク - 仲俣暁生さんの再販制に関する誤解 - オリノコ川の分水嶺を探査する

仲俣さんが理解していないとは驚きなんだけど、コメントが書けずブクマコメに書いてもまだ修正されないので記事にしておく。


当記事にコメントを頂戴し、元記事の注にも追記していただけました。(2009/08/18)


「35ブックス」は書店にとって福音か - 【海難記】 Wrecked on the Sea

の注釈部分。

再販制度の範囲内でも、刊行から一年を過ぎたら価格拘束を外すことができるらしい。多くの書店がそれをやらないのは、案外、本に関してあまりに消費者が従順だからかもしれない。ブックオフを悪く言うなら、自分たちも積極的に時限再販で値引きをしてみればいいのだ。ちなみに筑摩の菊池社長は時限再販推進派。http://www.bmshop.jp/cgi_bin/bbs/shinbunka/read.cgi?no=2601 このあいだの記者会見でも、時限再販との併用を強調していたが、それは出版社が決めることじゃなくて、あくまでも書店の側の問題なのだろうな。


再販売価格維持は出版社が決めるものです。

「価格拘束を外す」のも出版社です。


リンク先の

再販制度の中の時限再販を活用して、1年間は定価で売ってもらう。

というのは、他の業界なら発売直後から小売が価格決定を出来るけど、出版物には再販制があるので一年間は価格拘束をしよう、という話(現在は殆どの書籍が未来永劫に渡って価格拘束されている)。


書店が勝手に再販を破って値引きするのは契約違反です。

流対協、Amazonに再版契約の遵守を求める : J-CASTニュース

【アマゾン値引き】 緑風出版が改めてAmazonへ申入れ(5月21日)|こんな本があるんです、いま


再販を外す場合は↓のように出版社が指定するのである。

朝日新聞デジタル:どんなコンテンツをお探しですか?

このように発売時から非再販にすることも出来るし、発売時に再販期間を決めても良いし(時限再販)、刊行済みの書籍を非再販にして再出荷することも出来る(自由価格本)。

刊行済みの書籍が市場(書店の棚)に出回っている状態で再販を外すことを宣言しても良いと思う。(出版社が倒産してしまった場合も同様の扱いか。)


これが「再販制度の範囲内」の意味である。

公取委が出版物の再販制を撤廃したら、再販行為を行った出版社は独占禁止法違法になる。


なお、非再販出版物に前例が無いわけではなく、既に大量に出回っている。

404 Not Found | このページは存在しないか、すでに削除されています

「多くの書店がそれをやらない」のは、マージンが従来通りなので値引きすると利益が出ないことと、委託制なので(仕入値=定価の77~78%で)返品可能であることが理由だろう。


ところで、朝日のこの記事が大量にブクマされていたけど、

朝日新聞デジタル:どんなコンテンツをお探しですか?

この中で講談社の商品は、時限再販でもある筈なのだ。

講談社、責任販売の銘柄発表 - 新文化 - 出版業界紙

同商品には時限再販を導入して、発売から1年後に再販指定を外し、書店に価格設定権を移管する。

記事でもブクマでも触れられていない。

時限再販については未定なのか立ち消えになったのか、新聞社が再販に触れるのを嫌ったのか不明だけど。


菊池社長は35ブックスの中で時限再販も狙っていると思うよ。

solarsolar2009/08/18 10:44【海難記】の仲俣です。いまごろになってトラックバックに気づきました。遅くなりましたが、誤解箇所の訂正に感謝します。注にさらに追記をつけておいたのでご覧下さい!

2008-07-27

非再販商品の表示と値引き

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150坪・書店員BLOGさんのところに書かれていたスリップ。確かに「非再販商品」と書いてある。

複合出版物について詳しくは説明しないが、再販商品は「定価」、非再販商品は「価格」の表示をしている。DVD付きの商品は「価格」表示になり、書店は値引き販売できる。

f:id:worris:20130929140722j:image

Amazonは5%引いてる。

asin:406213795X


ただし掛率は一緒だから、おいそれと値引きはできない。amazon以外ではおそらく値引きしていないだろう。

このスリップの商品もAmazonは値引きしていない。

asin:4089070201


人気があって大量販売が見込め、他店と競争したい商品は値引きする。値引きしなくても売れる商品は値引きしない。

人気がなくて今更売れないが在庫している商品は返品しないで値引きしたりしてないかな? 見つけられなかった。

値引きする流れは他の書店にも広がるのだろうか。

問題は書店マージンから値引きを負担するための正味設定と、非再販商品のフラグが取次を通じて書店に渡ることか。

一応、定価表示と価格表示の商品は、出版社のサイトで検索すれば見られる。

定価 の検索結果のうち books.shueisha.co.jp/cgi/search/syousai_put.cgi からの日本語のページ 13,700 件中 1 - 10 件目

価格 の検索結果のうち books.shueisha.co.jp/cgi/search/syousai_put.cgi からの日本語のページ 162 件中 1 - 10 件目

定価( 税込) の検索結果のうち shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp からの日本語のページ 9,970 件中 1 - 10 件目

価格( 税込) の検索結果のうち shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp からの日本語のページ 478 件中 1 - 10 件目